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ダーツ観戦のどこが面白いのか

2021年の大晦日を迎えまして、ダーツの観戦ってどこが面白いのか、つらつら書いてみました。

180やハイオフ

トッププレイヤーが、滅多にできない180やハイオフ、ブルフィニッシュを次々と見せてくれます。これはダーツをやっている人にしか凄さがわからないと思います。ダーツをちょっとやってみれば、オリンピックの体操やフィギュアスケートでクルクル回ってピタッと着地するのを見ているときと同じぐらいの驚きになります。

あまり詳しくないうちは、見所はこれになると思いますが、これだけではないので、180やハイアウトがない試合でも観戦は楽しいです。

アレンジ

次にどこに投げるかを予想しながら見ます。これはある程度アレンジを覚えなくてはなりません。まずは40以下のダブルは偶数を2で割って奇数はシングルで調整して有利なダブルにするところから理解して、次に60未満ののシングル-ダブルの組み合わせ、次に100未満のトリプル-ダブルの組み合わせというようにだんだん覚えていきます。覚えるまでもなくトリプルに2本入れたらいい数字になるなということも見えるようになって、例外的なアレンジや、100以上のアレンジを覚えると、さらにトッププレイヤーがなにをやろうとしているのかわかってきます。

そうしますと、予想と違うことをプレイヤーがやってきたときに「あれっ?」「おおっ!?」「なんだ!?」「なにっ!」 となります。そして、次に続くダーツで「なるほど!」「そっちか!」「まじか!」となることをやってきますのでそこで納得させられるわけです。この起承転結、緊張と緩和。軌道から外れたと思ったら戻ってくる。思ったところから外れて綺麗にもどつてくるジャズです。どういうこと?と思わせてあとでそういうことかと気付かされてニヤッとする落語です。時に鳥肌すら立ちます。

しかし、プレイヤーの思った通りになるとは限りません。失敗しても意図がわかればよいですが、「あれはちがうな」とか「意味不明」で終わるリスクがあります。恐ろしや。

ダブルの不条理

最後はダブルに入れて終わらせなくてはいけませんが、ダブルは外側の細いところなのでトッププレイヤーでも何本も入らないときがあります。ダブルの真ん中付近でワイヤのギリギリ外側の方が、ダブルの端のワイヤのギリギリ内側よりも精度は高いですが、勝てないのです。 これが人生の不条理でありチャンスの縮図なのです。劣勢であっても最後までわかりません。特にPDCのプレイヤーは200点ぐらい差があっても180で一気に差を詰めて、ダブル一本残すだけなんていう状態にしてきます。「まだわからんぞー、まだわからんぞー」と最後まで緊張感を楽しめます。

応援しているプレイヤーがダブルで打ち勝つと至福の時を迎えますが、そうならない場合もあって「ダブルがなー」ってなります。これはどんなレベルの試合でも観戦で楽しめるポイントだと思います。

プレッシャーの対処

投げているのは人間ですので、ここで入れなければというところでは少なからず影響がでます。見ているほうが緊張するぐらいですから、投げるほうが緊張しないはずはありません。緊張によってパフォーマンスが下がることは学術的にもよく研究されています。プレイヤーは勝つために当然 3本で上がれる数字やいわゆる”いい数字 “に意図的に持っていきますが、同時に相手にここで決めないとやられるかもしれないと思わせてプレッシャーをかけられます。そうなるとプレッシャーをかけなければならないというプレッシャーもありますので永遠のプレッシャー合戦です。180を出すというのも大きなプレッシャーになりますので、どうしても引き離されないようにトリプルに入れたいという心理も働きます。 プレッシャーで崩れるか、逆に集中力を高めるか、プレイヤーの強さが現れるところです。

このプレッシャーは試合が大きければ大きいほど、またはどんなトーナメントでも決勝では強くでますので面白くなります。試合の価値がわかっていることが必要です。

投げ方

ダーツの投げ方は人によってかなり違います。ダーツをやらない人達には同じに見えるかもしれません。しかし違います。かなり違います。すべてが違います。ある程度投げると、自分の方法論みたいなものができていて、こう投げるなくてはと思い始めますが、それを見事に打ち砕いてくれます。またそれが視野を広げてくれて、行き詰まっていた上達を助けてくれることもありますし、さらなる迷宮に導いてくれることもあります。 全身に渡って見れば見るほど違いがあり、発見があります。

このポイントはある程度見る目が必要です。

飛び方・刺さり方

時々、ダーツが飛んでいる様子がスローで再生されるときがあります。生き物のようにダーツが上下に振動してトリプルやダブルに吸い込まれていきます。普通の放物線ではなく、プレイヤーによっては、ダーツの先端を真っ直ぐ放ったと思ったら、空中で大きく上に振れ始めて大きく上を向き、そのままでは絶対に刺さらない角度になってから突然下に振れ始めて、ダーツボードに角度をつけて刺さったり、刺さったダーツにぶつかって重なるように直近に刺さったりします。重心は放物線を描いているのは間違いないと思いますが、それが信じられないようなアクションを見せます。しかも何回でも同じような動きをさせます。 一方で長いダーツが綺麗な放物線の上に乗ったまま飛ばすプレイヤーもいます。

ダーツがダーツの軸を中心に時計方向に回ったり、反時計方向に回ったりする場合もあります。投げ方と同様に何が正解なのかはわかりませんが、多様性を感じて、何か秘密があるのではないかと見入ってしまいます。秘密があるかどうかはわかりません。しかし美しさは確実にあります。その美しさを感じた時、あなたはこちら側の人間です。もう戻れません。引き返すなら今だ!

このポイントは投げ方よりもさらに見る目が必要です。

ダーツの種類とセッティング

私は道具にはあまり詳しくありませんが、この多様性も大変なものです。またダーツの形はどうあるべきかというプレイヤーの考えが現れているところでもあります。 ひいては、どう持ってどう投げて、どう飛ばすのがよいかという考えにつながってきます。

ダーツはポイントからフライトまで、いろいろな形、重さ、材質が使われています。グリップや投げ方でそのプレイヤーにあったものが使われていると思います。ダーツに触ったことすらない人には大した違いはないように見えると思いますが、実は上級者にはポイントの種類、バレルのカット、フライトの形、などなど道具全てが関心の対象になります。なぜならそれによって大きく変わることを知っているからです。

私は違いがあまりよくわかりませんが、全体的な見た目のバランス、美しさは楽しめますし、選手が保守的か新し物好きかなども知ることができて興味深いです。

試合運び

PDCの試合にはワールドチャンピオンシップやマッチプレイ、グランプリ、グランドスラムなど大きな賞金がかかった年1回の大きな大会には、トッププレイヤーが集結し、 勝ち上がろうと必死になります。レグ、セットが多く、実力差が大きいと一方的になったりすることもありますが、競ることのほうが多く、大きなフィニッシュや、ダブルの失敗などをきっかけに、流れが変わったりして、劣勢だったのに連続してレグを取って勝ったり、その意外な展開も見所の一つです。

圧倒されて精度が不利になっても慌てず最後まで諦めないプレイヤーもいますが、勝てないと分かると態度がなげやりになって精度が落ちたり、落ち着こうと深呼吸したり、ストレッチをしたり。水を飲んだりするプレイヤーがいて、プレッシャーと戦う姿を見れます。優勢な方はみるからに自信がみなぎり、劣勢な方はみるからに焦りが見えます。

この心理状態はプレイヤーならよくわかると思います。

人間模様

試合はその前後、背景にストーリーがあったほうが面白いに決まっています。プレイヤーがなにを背負って試合に臨んでいるかを知っていると応援にも力が入ります。 対戦相手とは対立関係か友好関係か。 かつてステージ上でどんな事件があったか。 そのプレイヤーがどういう経歴をもっているか、どうしてダーツを始めたのか、家族が応援しているか、なんで・どうやってモヒカンにしているか。 そういうことがわかると、試合には関係ありませんが、試合中の態度が理解できたりします。 そして、プレイヤーにますます興味がでてきて、応援したい、勝ち進んでもらいたいと思うプレイヤーがでてくるはずです。

そこまで調べたりするのはあらかじめ興味がでてきた後になりますし、知識が蓄積されるのはある程度観戦経験が長くなった後ですから、なかなか難しいとは思いますが。 私は5年ぐらいしか観戦経験ないので調べてます。個人的には調べ物大好きです。

個性

試合前、試合後に選手は試合会場や記者会見場でインタビューを受けます。その時に、何を言うかで、プレイヤー個人がよく見えます。日本のプロ野球のあたりさわりのないヒーローインタビューとはちょっと違います。質問の内容に正確に答えるという感じでもありません。質問の内容はきっかけに過ぎず、呼水で、質問を勝手に広げまくって関係ないことまでどんどん話します。相手のことや、試合の内容、そのときの心理状態など良く話します。話していることは訛りが強くてわかりにくですが、記事をGoogle翻訳にかけたりすればわかると思います。

また、試合中試合後の態度は、その人をよく表します。PDCはプロフェッショナルで観客が集まる大会ですし、その観客たちは、ダーツはよくわかっていると思いますが、腕を組んで頷いたり首を傾げるような通の観客だけではありません(というかそう言う人達は極少数派に見えます)。オーバーなアクションが試合を盛り上げることをよくわかっている人達です。なので反則行為だったり、妨害行為でない限り、オーバーアクションが悪いとは思いませんが、やる人とやらない人がいて、それを見てどう思うかは人それぞれと思います。

話した内容、話す様子、態度から、そのプレイヤーが、オラオラなのか、イケイケなのか、真面目なのか、オタクなのか、良き隣人なのか、聖人なのか、神様なのか、感じることができ、その人のファンになったりアンチになったり、観察対象枠に入れたりして、次の試合を楽しみにします。

結局、ダーツが全くわからない人がわかる面白さは、このステージ上のみてわかる個性しかないのかもしれません。例えば一般向けニュース番組で扱うとすればアベレージやダブル率なんて関係なくてこれしかありません。 MvGの個性的な喜びの表現は誰がみてもわかります。他のスポーツでもあんな喜び方をする人はいません。

まとめ

最初は、何人か気になった選手に目をつけて観戦して、T20に入って最後ダブルに入ればよし。あとは選手のリアクションを楽しむでよいと思います。 そのうち、こんなにエキサイティングで感動するゲームは他にはないと思うようになります⇦イマココ

カテゴリー: PDC

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