ダーツの世界ではトッププロの腕が上がってきて、このままだとどういうことになるか考えてみました。現在はアベレージが95以上、100でも負けることは珍しくなくなってきました。 アベレージ100ということはどういうことかというと、501のゲームで100で割ってみると約5ですから、5ラウンドで終わるということです。つまり平均15ダーツ以内ならまあまあ勝てるけど、負けることもあるということです。 そのうち12ダーツで上がれないと、世界のトップにいけなくなるかもしれません。 15ダーツが当たり前になってきた現在ですらブレークするには12ダーツを出す実力がないといけないので、劣勢になったら負けるしかありません。
しかし、4ラウンドで上がるということになりますから、501を4で割ると約125です。アベレージ125。これはさすがにでていません。PDCの公式戦でもまだ3回しかでていません。
現時点(2022/2) でのPDC公式記録トップ3
- ピーター・ライト 123.53 プレイヤーズチャンピオンシップ 29 2019/10/14
- マイケル・ヴァンガーウェン 123.40 プレミアリーグ 2016/2/25
- キム・ハイブレクト 121.97 ワールドカップ 2017/6/4
12ダーツはどんなゲームになるのでしょうか。
ここに書いたことは、今そんなアレンジをするべきとか、今のアレンジは時代遅れというつもりはありません。12ダーツの時代の仮定の話です。
9ダーツ
9 ダーツはミスなしです。 言うまでもありません。これがデフォルトになったらダーツは観戦は全く面白くなくなりますので、ルール改正かボードの設計変更が必要です。
10ダーツ
10 ダーツは8本トリプルに入れて9本目の最後のダブルを外した場合のダブルの打ち直しか、 トリプルを一本だけシングルに外してダブルは1本で決めた場合。 と思いますよね。 トリプルを2本外してもディミトリ は10ダーツやりました。テイラーはナインダーツを喰らったことがないので、これが被弾した最小ダーツになります。
ディミトリ ・ヴァンデンバーグ 2018/1/27 エキシビジョン T20-S20-T19 364残 T20-T20-T20 184残 S20-T19-T19 50残 DB
この動画に10ダーツはよくまとまっていました。トリプルを一本外し、最後のダブルを外したのではないパターンのコンピレーションです。
- ギャリー・アンダーソン T20-T20-T20 321残 T20-T20-T20 141残 S20-T19-T16 16残 D8
- ダリル・ガーニー T20-T20-T20 321残 T20-T20-T20 141残 T20-S19-T10 32残 D16
- フィル・テイラー T20-T19-T18 330残 T20-S19-T18 197残 T20-T19-T16 32残 D16
- ・・・
ダブル狙いを除いた9本中、8本はトリプルに入れなくてはならないのでトリプル率89%です。
11ダーツ
シングルに3本シングルに外してもダブルを外さなければ11ダーツになります。または10ダーツトライでダブルを外して再トライに成功すれば11ダーツです。トリプル率 70%が必要です。
松田純プロ 2021/11/13 ワールドチャンピオンシップ予選 で見せたのは S5-T20-T20 376残、 T20-T20-S20 236残、S20-T20-T20 96残、 T20-D18 11ダーツ。 一本目がS5だったことでとても綺麗な11ダーツになりました。
ジョン・ロウ John Lowe が2015/5/11に見せたのは T20-T20-T20 321残 , S20-T20-T20 181残, S20-T20-T29 41残, S9-D16 11ダーツ。 この試合は、シニアダーツでジャラジャラ怪人扱いされていた(されていない)ボビー・ジョージが180 で仕込んだシャツで乳首見せたのが面白すぎて知る人ぞ知る動画です。「ボビー・ジョージが金ピカシャツで乳首みせた動画」と言えば「あれね」と言われるかもしれませんが、「ジョン・ロウが70才で笑いながら11ダーツ決めた動画」と言っても思い当たる人は少ないと思います。
12ダーツ
12ダーツはトリプルをシングルに4回外しただけなら12ダーツの可能性があります。(インブルフィニッシュができれば5回外せます) しかし、11ダーツ中7回トリプルに入れなくてはならないならばトリプル率 64%です。つまり3本に2本はトリプルに入れなくてはなりません。4回外しても良いというとありそうな気がしますが、3本に2本も安定して入れるはちょっと無理な気がします。
12ダーツを超えてしまうと15ダーツでも同じです。3本ずつ投げますから。言うなれば10ダーツ、11ダーツはすごいですけど勝敗的には12ダーツと同じです。12ダーツが境界線です。個人的には、10,11ダーツでサクっと上がられたらしょうがない感じしますけど、次自分の番が回ってきたら上がれそうで、もしかして回ってくるかもと思ったところで、3本目で決められるというのは結構くると思います。
ダブルの数字に拘らないスタッキング重視へ
それでは12ダーツ時代が来るとして、どんなアレンジになるかです。これはもう一部で始まっています。 一つはダブルの数字がなんであろうと、特に最後の一本がダブル狙いであれば気にしなくなると思います。 ポインターキラーと名付けていた人がいました。中継で次のダーツが着弾するところを予想してカメラが映す場所を判断する人をポインターといいます。その人たちの予想が外れるような 、従来の常識から外れた、アレンジを忘れたかのようなアレンジをしてくるようになると思います。
例えば134でT20-T14-D16でなく、T20に入ったらT20-D7。 T14にスイッチすることによる精度低下や、スタッキングが使えないことから14残になってもT20にいく。T17に二本いれて32、S17二本でも100残という考えはありますけど、T17S17だと66残でトリプルが必要な数字、T20S20なら54でシングルとダブルで終わらせられる数字なので余裕ができます。狙いを変えずにダブルを早く打つことだけ考えればT20狙いになります。スタッキングは普通の選手は上の方にあるT20の方がしやすいです。またT17はゲームのなかでも殆ど狙っていないので精度は落ちると思います。
ここで念のためもう一度くりかえしますが、これは12ダーツ時代の空想です。現在T20に二本狙う人は少ないと思います。
つまり狙いを変えないでトリプルの成功率をあげる。ダブルの数字にこだわらず相手よりも早くダブルに投げる。12ダーツ時代はそんな判断が主流になるようになると思います。
ブリストウ が32残で待つところでキース・デラーが138を決めて世界チャンピオンになったときのアレンジは、T20-T18-D12でしたが、12ダーツの時代にはT20-T20-D9になると思います。相手が32で待っていたら2本目のトリプルを外したら終わりです。24に合わせる意味がありません。(ブリストウ はその前のラウンドで50残の1本持ちでブルトライをせずS18で32を作っていました。後にブリストウ は138は狙いが動くので成功しないと思ったと語っていました。) 同じところを狙うということ、スタッキングさせるということは、精度の高いダーツを投げるプレイヤーがそうすることによってさらに精度を上げてくるはずです。そうしないと3本中2本トリプルいれるなんて難しいです。当たり前のようにトリプルに入れるのは、頻繁にスイッチングしたり、スタッキングを使えなかったりすると難しくなると思います。
ブル多用で本数重視へ
トッププレイヤーはブル狙いでインブルが外れてもアウターには入るという考え方をします。よく一般プレイヤーでも使われるのが81から85, 91から95, 121から125の3本持ちから、ブル狙いをしてアウターに入ってもシングル-ダブルで上がれる60以下、シングル-インブルで上がれる70以下、トリプル-ダブルで上がれる100以下にする狙い方がありますね。132や135もインブルから。
そういう考え方がどんどん高い点数側にシフトしていくと思います。ダブルの数字だけみると、アレンジ無視で力技のように見えるのに、実は高いスコアのところで高度なアレンジをするようになると思います。 12ダーツの時代になったら当たりまえのことですが、ナインダーツ終了時点で上がり目は必ず出すということを強烈に意識していくと思います。一般プレイヤーだと161から170までの上がり目を出すのは、中間地点のボーナスポイントみたいなものですが、12ダーツのプレイヤーの精度ではかなり現実味のある数字になるはずです。
これまでも最短の本数で上がるということは考えられていると思いますが、特にブルを使ったアレンジがこれまであまりいじられなかった点数で使われてくると思います。
しかし、ここでもスタッキング重視とスイッチングなしのほうが優先されるかもしれません。2本なげて185残ならば、T18に投げてシングルに外れても167という考えがされていますが、1,2本目がT20-T20でいい感じに刺さっていたら、12ダーツ時代ならT20に行くプレイヤーが増えると思います。
ダブルダブル
超一流プレイヤーが狙いを大きく変えないで精度を上げ、スタッキングを期待する効果はダブルにも使われていくと思います。80ならばD20-D20、76ならばD19-D19、72はD18-D18などです。80でシングルにS20に外したらダブルは狙えません。T20に入ったら、大きく狙いを変えて右下のD10です。76(T20-D8)も72(T16-D12, T12-D18)も同様です。シングルに外したらダブルは狙えず、トリプルに入ったら大きく狙いが変わります。ダブルは外側に行ったら0点なので不利になりますが、相手に15ダーツ渡したら負けると考えれば、12ダーツで終わらせる可能性を選ぶようになると思います。
今日のところはここまで。また気づいたら足したり変えたりしていくと思います。
余談ですがFIDOのカウントアップ 1000点ということはアベレージ125です。最後にダブルはないので、比較できませんが、12ダーツペースで削れたということです。この削り能力が今のPDCで活躍するには大事だと思います。
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