ダーツ の軌跡の飛型計算を行いましたので、とりあえず、パソコンでこのリンクから見てみてください。表計算でやっています。Google スプレッドシートでやっています。閲覧権限しか与えていないので、Googleアカウントでログインして、メニューの「ファイル」から「コピーの作成」を選んで、自分のドライブに入れるとパラメーターを変更できます。(スマホの場合はこちら)
【最新版】グラフのダーツにフライトをつけました。飛行軌跡の長さを計算するようにしました。ダーツの軌跡飛型計算Ver.1.2.2 (2019/1/25)
数式の微修正とフライトの軸周りの回転を考慮しました。ダーツの軌跡飛型計算Ver.1.2.1 (2018/9/16)
グラフ表示と式の修正を行いました。こちらをご参照ください。ダーツ の軌跡飛型計算Ver.1.2 (2018/8/15)
リンク ➡️ ダーツ の軌跡飛型計算 Ver1.1 の公開版(2018/8/14)
エクセルだと仕事で使っていても持っていない人多いでしょうし、GoogleスプレッドシートならGoogleのアカウント持っていれば誰でも使えるのでGoogleスプレッドシートで書きました。Googleアカウント持ちたくない人は、「ファイル」から「形式を指定してダウンロード」を選んでエクセルでダウントロードすれば使えますが、グラフの書式が崩れるので自分で工夫してみてください。計算はできているみたいなので、エクセル持っている人なら書式を整えるのは難しくないと思います。
勘の良い人なら、説明不要と思いますが、以下説明です。
背景
興味があって、以前テイラーとガーウェン のダーツ の飛型計算を行って示したツイートが地味にポチポチリツイートされていたので、やっぱりこういうの興味ある人はいるんだなと思い計算を公開することにしました。当時興味があって計算してみた理由は、ドリーさんが高速カメラでとったアンダースタッキングの動画がきっかけでした。この衝撃的な動画からアンダースタッキングがなぜ起こるのかが明らかになり、アンダースタッキングを狙うかどうかは別として、起こるのか偶然なのかの議論は終結したと思います(少なくとも私の中では)。その動画では、ダーツ が弾かれるパターンも捕らえられていて、先が下向きに刺さっているダーツ に、投げたダーツ の先が起き上がるときにぶつかればピタッとくっつき、ダーツの先が落ちるときにぶつかると弾かられるように見えました。これはダーツ の先を下向きに刺すだけじゃなくて、その時の動きも重要そうだと思い、ガーウェン やテイラーのダーツ がどのように動いているか計算して見ようと思ったのです。画面で確認した角度と速度と合うように計算してみると、スタッキングするように、つまり弾かれないような軌道になっていることが分かりました。この時行った計算はダーツ の重さと長さに依存しつつ減衰していく振動と、重力による放物線と、空気抵抗による減速を前面への投影面積に比例する形で計算しただけだったので、ある程度パラメーターで実際の飛型に合わせているところがありました。フライトが受ける揚力(浮き上げる力)と抗力(減速する力)が分からなくて、そのようにせざるを得なかったからです。回転するダーツ フライトの十字クロスの値が実際には欲しいところですが、世の中では役に立つ飛行機の翼の研究がメインなので、平板のデータすらなかなかない上に、翼は10〜15°ぐらいで失速するので30°以上の高角度領域のデータはほとんど見つけることができずにいました。しかし先日岡本正人,上馬義貴,「低レイノルズ数における翼の平面形空力特性の実験的研究」, 秋田高専研究紀要,Vol.44,p42-50(2008)という論文を見つけまして、これにダーツ のフライトに似たいろいろな形状の平板翼の揚力係数と抗力係数が0〜90°の角度で示されていました。「うわっ、これ分かったらダーツ の軌跡と飛型の計算できるぞ!」ってことできっちり計算してみました。
はじめに
今回の計算では実際の飛型に合わせてフィッティングするパラメーターは使っていません。フライトの最大投影面積がそのまま翼として働いている仮定になっていて、フライトの回転の効果や、斜めになった場合については考慮していません。バレル本体の空気抵抗や浮力も計算していません。そのため若干のずれはあると思いますが、だいたい実際の飛び方に合っていると思いますし、セッティングや環境が変わった場合、どの程度影響があるかを考える指針にはなると思います。
フライトの大きさやシャフトの長さによる影響はもちろん、例えば、微妙とも思えるポイントの長さを30mmから40mmに変えたらどうなるかについては、計算によると、刺さる角度が0.6°立ち、刺さる位置は5mmも下がることになります。
空気抵抗は気圧が低く、気温が高く、湿度が高いと空気密度が低くなるのでと小さくなります。(湿度が高いと、空気密度が高いと誤解しがちですが、水は窒素より軽いので湿度が高いと空気密度は低くなります。)また、赤道付近のクアラルンプールと高緯度のロンドンでは自転の影響でクアラルンプールのほうが重力が小さくなります。つまり重力の低いクアラルンプールで気温が高く、低気圧が近づいて気圧が低くて湿度が高いと、重力が高いロンドンで、よく晴れて気圧が高く、気温が低く乾燥している場合では、クアラルンプールでのほうが飛びやすいことになるので刺さる位置が2mm程度異なる可能性があることになります。小さいようでもダブルの幅は1cmぐらいですから、大きくないでしょうか。まあ、急に変わるわけではないですので、慣れておけば問題ないと思いますが、なんか今日は浮くなあとか、沈むなあと言う時には環境の影響かもしれないので、微妙なセッティングの変更で普段と同じように投げることができるのではないかと思います。
グラフの見方
3パターンのセッティングを比較できるようになっています。グラフは重ね書きをしたかったのですが、Googleスプレッドシートではやりにくかったので3つのグラフに分けています。横軸が飛距離で縦軸が高さで、棒がダーツ を示しています。黒い線がダーツ ボードです。スローラインからダーツ ボードまでは約2.4mですが、前傾して腕が40〜50cm出るのでその分を引いた位置にあります。上のグラフは裏抜き、真ん中は芯抜き、下は表抜きで投げた時の様子です。
その右側にある3つのグラフは、ダーツ の当たり方、ピッチ角、ピッチ角速度を示します。
3つの中の左のグラフはダーツ の先端がダーツ ボードに接触したときにどのような状態になっているかを示しています。
真ん中は飛距離によるピッチ角の変化を示しています。ピッチ角とは、水平に対するダーツ の傾きです。すなわち、単純に見た目の傾きです。(ここでは仰角はダーツ の重心の進行方向を言います。)水平が0で、右向きのダーツ が上を向いていれば正、下を向いていれば負としています。図の中に黒い四角がありますが、この点でダーツ ボードに当たったいることを示しています。
右のグラフは、ピッチ角の速度です。下向きに変化中の時は負で、上むきに変化中の時は正です。オレンジ色の表抜きで投げているときは、下向きへの動きが減速したあと、上むきに変化し、また下向きに変化してボードに当たっていることを示しています。
データの入力の仕方
計算するためのデータは、この表の中の赤い文字のセルのところに入力します。
初期高さは、ダーツ をリリースする高さで、ボードまでの距離もスローラインからの距離ではなく、リリースする地点からの距離です。
投射角は、ダーツ の重心を投げ上げる角度です。ダーツ のバレルの角度ではありません。ここの理解は重要です。バレルの水平方向に対する角度(ピッチ角)は必ずしも、ダーツ が移動する方向を向いている訳ではありません。移動方向とダーツ のピッチ角の差を迎え角と言います。迎え角が0°ならば、ダーツ のピッチ角と投射角度は同じです。
ここで回転する、初期回転速度は、ダーツ の長さ方向を中心軸とした回転ではありません。上下振動の速度です。実際には思いっきり回転させないかぎり、フライトがあるので回転せずにゆり戻るのですが、もしフライトがなかったら、一秒間に何回転ぐらいする勢いで投げているかを示しています。指で弾くように投げて入れば1〜2、自然にリリースしていれば0〜1、ダーツ の先が下に向かうようにリリースしていれば0〜-1の値になると思います。
ダーツ のスペックは、重心、力点、ダーツ の回転慣性モーメント、ボード接触点を計算するのに必要で、影響が大きいので実測やネット情報を元に入れていきます。少し変化させると違いが大きいので影響の大きさが理解できると思います。ポイントの長さは、ダーツ から出ている部分の長さを入れます。ポイントの質量は、全体の重さです。シャフトについては、バレルの後端からフライトまでのいわゆるシャフト長さを入れます。全体の長さではありません。表2を参考にしてください。あとはフライトにかかかるスリットの長さを入れます。フライトの形状については、L-Styleさんがフライトの形状と断面積を出してくれているし、使っている方も多いので、このデータを標準として、この中から選ぶようにしました。揚力係数CLと抗力係数CDの値は、フライトの形状に近いものを使用するようにしました。このフライトとのところには表1の左に書いてあるL1〜L9の記号を入れます。
投げる環境については場所によって重力が異なるので、都市名を入れます。都市名がない時は、その緯度に近い都市名を入れます。気圧は気圧計がなくても天気図や気象庁のサイトからほぼリアルタイムで知ることができます。気圧は10mで1hPa低下し、1000m程度の山の中では100Paも低下するので、低気圧・高気圧の影響よりも大きいと思います。
この製品は、気圧、湿度、温度、全部測れて2980円らしいです。
計算のところのパラメーターは特に変える必要はありません。グラフ表示間隔の数字を少なくするとトップのグラフにダーツ がたくさん表示されるようになりますが、あまりたくさん表示させると、ダーツ が重なって見にくくなります。
図だけだと、細かいところは分かりにくいので、表の下に結果を表示しました。刺さる高さとピッチ角、ピッチ角速度、刺さるまでの速度、刺さるまでの時間とスタッキング判定です。スタッキング判定は、アンダースタッキングしそうな時は、アンダー、オーバースタッキングしそうな時はオーバー、弾かれそうな時は無しと書いてます。 アンダースタッキングは、先が下を向いて刺さっていて、回転が上むきの時、ひっつくようにスタッキングするとし、オーバースタッキングは、先が上を向いていて、回転が下向きの時、着陸するようにスタッキングするとし、その逆だとひっかかって弾かれると仮定しています。
終わりに
計算の行い方については、スプレッドシートを解読していただければ分かると思います。ダーツ が当たるまでの時間を1000等分して、オイラー法で近似解を出すという力技です。スプレッドシートなのでなるべく計算を単純化しました。パソコンでもパラメーターを変えてから計算が終わるまで数秒かかると思うので、精度をあげていくともっと時間かかってしまうと思います。基本的な考え方やデータは、スプレッドシートの最後にある参考資料というシートに参考資料のリストが書いてあります。
ダーツ の飛び方について、ネットを調べるとたくさんの説明や図や考えがありますが、ダーツ の振動が、目の錯覚を生むので誤解されがちな上にダーツ の重心と先端の区別や、迎え角とピッチ角の区別がよく分からなかったりして理解が困難な場合があります。こんな傾向ということを示すために手書きの曲線を描いて、それを見た人が本当にこんな風に飛ぶのかと誤解する場合もあると思います。頭の中でこんな形だからこんな風に飛ぶはずだと考えて観察すると、そんな風に飛んでいるように見えて、間違ったことを確信してしまうということもよくあります。さらに科学的な味付けが加えられて、いろんな情報が溢れることになります。ドリーさん、PDC、バレルメーカーがスロー動画で示している、いろいろプレイヤーのダーツ の軌道は、実際に起こっている否定しようがないことですので、実際に起きていることを調べたい時には、思い込みに寄らないそういうものをベースに検証してくのが良いと思います。
流体力学をほとんど知らないけど興味あるひとには、高校数学でわかる流体力学 ベルヌーイの定理から翼に働く揚力まで (ブルーバックス) [ 竹内淳 ]をお勧めします。
ファイルが大きく計算が多いためパソコンでもグラフに結果が表示されるまでに数秒かかるので、スマホではお勧めしませんが、処理の速いスマホなら時間がかかるものの可能かもしれません。(私のXperia Z5 (2015年発売)では数分かかりましたがなんとか可能でした。)リンクをクリックするとスマホアプリの「Googleスプレッドシート」で開くことになると思いますが、開いたら、右上の・・・のメニューから「共有とエクスポート」から「コピーの作成」を選んでコピーすればパラメーターの変更ができます。「名前をつけて保存」ではありません。値を変えてもしばらくはなにも起こりません。なにか他のことで時間潰して戻ってみると計算が終わっていると思います。またはGoogleスプレッドシートを閉じてからまた開いたほうが速いかもしれません。
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