次々と140や180を打って、削りが速いほど、勝率は高くなるのは直感的にわかります。
しかし、ダブルアウトではダブルが打てないと勝てません。ダブル率がアベレージとともに算出され、ダブルに何パーセント当たったかがわかりますが、どの程度影響があるものなのでしょうか。
ここではダブル率が勝敗にどの程度影響するのかをデータから見て見たいと思います。
以下の表は、2018年のBDO ワールドトロフィーのDay1,2,3の結果です。
PDCよりも技量の差が大きく、大雑把な傾向が見やすいと思いましたのでサンプルとしました。
男子は6先、女子は4先で、計20試合が行われ、試合後に表示される取得レグ数、9ダーツ アベレージ、全体のアベレージ、ダブル率を記録しました。以下にそのデータを示します。Player AとBに分け、それぞれのポイントを示しています。ナインダーツ アベレージは、最初の9ダーツ のスコアで、削りの能力がわかります。ダブル率はダブルを狙った回数でダブルに入った回数を割った値のパーセントです。
さて、このレグ数をPlayer Aの勝った数を全レグで割って、Player Aが何パーセント勝ったかを出します。これを勝率A(%)とします。勝率が50%以上ならそのマッチは勝ったということです。
そして、9ダーツ アベレージも同様に、Player Aの9ダーツ アベレージをPlayerAとPlayerBの9ダーツ アベレージの和で割って、何パーセントPlayerAが取ったかを出し、これを9ダーツ アベレージレートA(%)とます。もし50%だったら、PlayerAとPlayerBのアベレージは同じということです。Player Aが120でPlayer Bが 80だったら120/(120+80) = 60%になりますので60%だったらPlayerAはPlayerBよりも1.5倍高い9ダーツ アベレージだったことになります。
すなわち、50%なら相手より多く、高いほど差は大きいということです。この9ダーツアベレージレートAに対して、勝率Aは下のグラフのようになります。
確かにナインダーツ アベレージが高いほど勝率は高くなる傾向にありますが、かなりぼんやりした相関で近似直線からのばらつきが大きくなっています。ナインダーツ アベレージレートの幅は45〜60%とあまり広くありません。その中で勝率のばらつきは大きくなっています。すなわち、相関が薄れています。ナインダーツ アベレージレートが50%以上ということは、Player AはBよりも高いナインダーツ アベレージを出していますが、勝率が50%以下になっているものもあります。
ここで、ダブル率も同様にPlayer Aのダブル率をPlyerAとPlyaerBのダブル率で割って、これをダブル率レートA(%)とします。9ダーツアベレージレートAに対して、ダブル率レートAは下のグラフのようになります。
ダブル率レートでみたほうが、勝率との相関がシャープに見えます。
グラフ上に示したRは相関係数と呼ばれるもので、統計的にも0.78ということはは強い相関があるということを示しています。一方、ナインダーツ アベレージのRは0.57でしたので、1ランク低い相関があるということのみを示しています。
相関関数の目安
0.0~±0.2 ほとんど相関がない
±0.2~±0.4 やや相関がある
±0.4~±0.7 相関がある
±0.7~±0.9 強い相関がある
±0.9~±1.0 きわめて強い相関がある
すなわち、ダブル率レートのほうが、ナインダーツ アベレージよりも相関が高く、ダブルを入れるということは削ることよりも重要である可能性が高いのです。
ダブル率を上げるにはどうするか?
それはダブルの練習をして腕を上げることですが、ブル、T20の練習ばかりしてきた人には上、下、右、左に投げることになれること、一本ごとに違う場所に投げることに慣れていないでしょうから、練習の効果は顕著かもしれません。しかしそう簡単にすぐにはダブル率は上がりません。
ダブル率が同じで勝率を上げるには、ダブルを打つ数を増やすこと、一本でもダブルを早く狙えるような展開にすることが有効と思われます。つまりアレンジを意識することです。偶数、奇数を意識して早めにダブルを打つのはもちろん、シングルに外してもダブルを狙える数字にまとまるようにすればダブルを打てる回数が増えるはずです。ダブルの重要性はアレンジの重要性を物語っています。
トッププレイヤーはアレンジができるので、アレンジをすれば勝てるというレベルではなく、うまくアレンジができないとかなり不利になると思います。しかし、ダーツ が正規分布にしたがってばらつくと考えたシミュレーションの結果では、ラウンドあたりのスタッツが60以下だと、あまりアレンジは関係ありませんでした。アレンジの基本となる、(1)トリプルに当たった場合または(2)その数字のシングルに外した場合という前提が、着弾点がばらつきすぎて崩れるからです。したがって自分にはアレンジ知識は観戦のためと、自分で投げる場合には指標と、トッププレイヤー気分になるためのものにしかすぎません。好きなように楽しめばよいと思います。カンケーネーと20にひたすら打ち込むのはも良いし、下手くそなのに62残でT10狙ったり82残でブル狙っても良いと思います。
まずはダブル率、意外と重要だということで。
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